バンコク目線でタイマーケットをいろいろ大予想!2015

軍事政権で安定化する経済。支持率が高い軍事政権はタイならでは。

2013年後半から2014年初頭にかけて、タイ・バンコクでの反政府グループによる政権打倒活動が断続的に行われていました。2大政党のいずれが政権運営をしても、その片方が「反政府」となりデモを繰り返していました。2005年以降の状況を経験している多くの邦人在住者は、こういった状況を「この道はいつかきた道」と感じることができます。この10年のタイの経済成長は、混迷と融和の繰り返しの中に、中間層の経済的拡大を背景としてきました。

タイ人は秩序や安定を好み、他者に対して調和的なことを美徳とする。自己にではなく、家族や他者のために尽くすことが功徳と考えられています。一方、正義感やプライドが強く、感情的な行動にでた場合の抑制が利かない面があります。これらの混乱状況は、民主国家として未完成な国が近代国家に推移していくための成長過程としてみることができると考えます。2014年の前半はこの混乱の中、軍部が全権を掌握。現在のプラユット政権が発足しました。民間政党のねじれに振り回されてきた国民は、混乱を収拾できる唯一の存在としてこの政権を歓迎しました。また前回の2005年のクーデター政権の反省から、経済政策で景気の低迷をしないように、国際社会にも積極的にタイ国の安定を訴求しています。しばらくこの状況が続くことが、タイ国経済の安定を支える形になると考えます。

ジャパンフードの浸透性。増加傾向!更に進む!

バンコクを始めとする都市層を中心に広がりを見せる。ジャパンフードはその中でもコンテンツキラーとなりつつあります。タイの食の統計によると日本食は、タイ料理に次ぐ地位を占めています。現在の追い風の中、日本食レストランの進出は外食産業が盛んなタイ国において更に加速するものと考えらます。

以前は個人経営の飲食業が主体でしたが、ここ数年は、日本の大手外食企業の進出が続いています。つぼ八、元気寿司、丸亀製麵、牛角、寿司小樽、てんや、吉野家などのなじみの店がタイマーケットでの展開を開始しています。大手外食企業の場合、数年で50 店舗展開などという計画もあります。現在タイの日本食店舗は約3000店舗といわれ、その多くがバンコク中心部に展開しているます。また、外食の海外進出支援、コンサルティング、飲食に特化したサポートサービス(施工・人材・情報など)の専門企業がサービスを開始しており成熟産業となりつつあります。

飲食の業態としては、総合レストラン・食堂といったものから専門店(すし、牛丼、カレー、ラーメンなど)への移行傾向が強く、本物志向が最近の傾向となっています。

タイ人の嗜好特性を睨んだ出店は今後も続いていきますが、課題や運営上の問題も多いと考えます。タイの法人設立の場合、タイ側企業による出資を51%以上受けなくてはならず、日系飲食企業は、タイ食品大手と業務提携することになります。経営上も、運用上も単独で経営判断することができない状況にローカライズではなく、タイ仕様の運用になってしまうケースも散見されます。一方、ハイエンド向けの飲食業態の成長は、アジアのグルメ都市バンコクの今後の高い可能性を感じます。

加熱するジャパントラベル。団体旅行から個人旅行FITへ急速シフト。

2014年の日本観光は、外客1300万人突破で大いに沸きました。2014年タイ人観光客は約74万人と数年に渡って、高い成長率を示しています。また、2013年7月実施の訪日ビザ免除もタイ人に歓迎され、日本観光の人気を高める結果となりました。日本の旅行関係者の多くが参加するTITF旅行フェアも日系の出店規模を大きく成長させており、海外旅行人気の高まりも経済成長と中間層の所得成長を背景に規模を増やしているのではないでしょうか。

タイ国内の観光地には、新しい施設やテーマパークが造られており、休日には大勢の家族連れやグループで賑わいを見せています。タイ人は「遊ぶこと」「楽しむこと」については、その天賦を発揮します。なにしろ遊び上手です。今、そんなタイ人が海外旅行を始めており、近隣周辺国へ陸路で行く観光、手頃な距離感のアジア諸国への旅行から始まっています。また、団体旅行から個人旅行へのシフトが急速に進んでおり旅先の広がりを見せています。礼儀正しく愛想がいいタイ人旅行客は、観光地でも評価が高く、タイ人の情熱的ともいえるショッピングは、日本の地域活性につながるほどのエネルギーがあると考えられます。東名阪、中部ルート、北海道といった代表的なコースから、九州、四国といった未認知エリアに観光コースが広がることになるでしょう。また、団体旅行を経験したリピーターは、個人旅行者(FIT)となり日本旅行の形態が成熟度を増していくと予測されます。

進む。タイ女性のライフスタイルの近代化。

アジアのファッションソリューションを牽引している「ニッポン」。 美容においてもヘアスタイルにおいても、高い技術性と多様性をうまく取り入れている国でしょう。タイのビューティーシーンは、大半をニッポンのファッションをベースにローカライズされたものが主体になっていると思われます。また、タイでは未発売のコスメ商品をネットで個人輸入したり、旅行時に友人の分まで大量に購入するなど積極的な購買行動が進んでいます。「黒髪ストレートロング」から「カラーリングしたゆるふわヘアー」までの距離と比率は、都市になるほど多様性が進んでいます。またファッション感度が高いと言われているタイ女性のショッピングゾーンは、アジアの近隣周辺国から商品を手に入れようとやってくる人であふれています。タイ人女性は、都市層ほど晩婚、少子化が進んでおり、自立した女性やクオリティーライフを謳歌する女性像に憧れをもつのは、近代化していくための象徴なのかもしれません。

アセアンという言葉に反応して。

2016年アセアン統合。アセアンの成長の時代と言われています。 アセアン10カ国其々の国の事情があり、歴史背景があります。また、現在の成長過程においてもまちまちであり、価値観も違います。しかし、これから10年は間違いなく、アセアンの時代なるでしょう。


この記事は、2002年~2015年に雑誌掲載されたものに、加筆修正をしたものです。記述内容が当時のものであり、現状と違う部分が含まれています。